むかし読んだ本の話 ”高慢と偏見”

最近は本を読んでないの
今夜は3年ぶりの皆既月食みたい。天気が良ければ今まさに夜空に赤い月が浮かんでいると思う。せっかくのこんな夜だから新しいカテゴリーで書いてみたい。ちなみにルナロハはスペイン語で赤い月なの。
ここ1年数ヶ月の間、読書から遠ざかっている。だから、最近読んだ本のことは書けない。なので昔読んだ本のこと書いていきたいと思っている。なんで急に本のことを書こうと思ったのか。よくわからないけど、やっぱり本が好きだからじゃないかしら。
昔は毎日のように夕食後とか就寝前とかに読書の習慣があった。私は小説が大好きだった。小説を読むことで様々な疑似体験ができた。小説であれば特にジャンルにこだわらなかった。というか、敢えて多種多様なジャンルの小説を読むようにした。恋愛物で胸をドキドキさせたり、推理物で探偵と一緒に犯人を捜したり、SF物で近未来を旅したり、ヒューマン物で人生の喜怒哀楽を味わったり、時代物で江戸の町を岡っ引きと一緒に疾走した。
でも本を読むスピードは決して速くなかった、1ヶ月に2~3冊ぐらいかな?あと、たぶん人と違うのは2~3冊を同時並行で読んでいたことね。TVドラマを毎週、複数番組見るのと同じ感覚だったの。でも読んでいるうちに、その中の1冊が面白くなって、その本ばっかり読み進んで、先に読み終わるということもあったわね。

 

梅雨~夏へ
毎年、この時期になると本の整理を始める。読み終えた本を、本棚からケースに移し替える作業をする。今まで読んだ本はホームセンターに売られているプラスチックのケースに入れて、2段重ねで保管している。読み終えた本を売ってしまおうと思う時もあるけど、愛着が湧いてなかなか行動に移せない。そうやってグズグズしているうちに本棚に本が収まらなくなってくるので、一時避難という感じでケースに移したんだけど、それが定番になってしまった感じね。最近は確かに本を読んでないけど、昔読んだ本が整理できずに本棚やその周辺に積み重なった状態で放置されているものが結構残っているので、この際だからまとめてせっせとケースに移すことにした。
なぜ今の時期かというと、湿度が高くなってくると本にちっちゃい虫がついたりする。だからこの時期に本をケースに入れて防虫剤を1個一緒に入れておくの。でも、最近そのケースも増えてきたので、やっぱり本を売るしかないかな、とも考えている。

 

高慢と偏見
本を整理していたら、昔読んだ思い出の本が出てきた。オースティンの「高慢と偏見」。私は本を読み終えたときに、最後のページに読了した年月日を記入している(もし売る時には消せるように鉛筆でね)。上巻が2019年7月11日、下巻が2019年7月20日。今から約2年前。この本を買ったときは7月頭ぐらいだったと思う。天気のいい暑い日だったことを覚えている。セミの鳴き声が頭に蘇る。今はこの世にいない大切な人と街路樹のある道を並んで歩きながら、「何の本を買ったの」と聞かれたことを今思い出した。ちょっと心がきついわ。
この頃は海外の名作を読破していきたいと思っていた時期ね。同時に海外文学は、翻訳を介することで作者の意図をつかみにくいと思って、ちょっと抵抗もあった。でも、この高慢と偏見を読んで、すばらしい翻訳によって、主人公エリザベスとダーシー、ジェーンとビングリーの2カップルの恋の駆け引きを中心として、周囲のリディアとウィカム、シャーロットとコリンズ牧師、キャサリン夫人、そしてお調子者のベネット夫人など登場人物それぞれの思惑や心の動きをとても楽しむことができた。地方のお金持ちの家庭の娘が、大富豪の彼氏を射止める話なので、私のような一般家庭からは、
かけ離れた上流階級の出来事ではあるけど、おとぎ話感覚で比較的一気に読めたと思う。
ものすごく人気がある小説なので、各出版社から翻訳本が多数出ているし、映画化もされているので、ご存知の方も多いと思うけど、もし読んだことがない方はお勧めします。この話は18~19世紀のナポレオンの時代の話みたいだけど、本作が現代のドラマの底流をなしてたりもするので、今でも楽しんで読んでいただけると思うわ。
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高慢と偏見(上)(下) ジェイン・オースティン著 中野康司訳 筑摩書房刊(ちくま文庫